「三方よし」の商いを目指して。　　　　　　　　　　　　　　　未来の市場を作り出す商社

光学・半導体関連の機械・資材販売をおこなう商社「株式会社マブチ・エスアンドティー」。拠点は辰野本社含めて日本に４つ、海外に3つあり、グローバルに事業を展開しています。

「商社の役割とは、売買の間に入るだけではありません。現状分析やヒアリングを通してお客様と一緒に手を動かし、未来の市場をつくりだすことです。」と語るのは代表取締役社長の馬淵崇さん。

商社が生み出す付加価値、企業が大事にする理念などについて伺いました。

■ 国境を超えて、生み出す付加価値

貴社の歴史、サービスについて教えてください。

〈馬淵社長〉
「1957年、『馬渕商店』という名で、光学関係商社からスタートした当社。辰野町を中心とするレンズにまつわる光学企業のお客様に支えられながら、だんだんと日本全国のお客様にご用命いただくようになりました。

事業の柱は３つ。光学メーカー様向けにレンズ研磨機器や測定器などをご提案する『光学分野』を主力とし、世界的に需要が高まる半導体の製造装置をご提案する『エレクトロニクス分野』、そして便利かつSDGsな暮らしをテーマにした商品をご提案する『ライフサイエンス分野』です。

お客様のご要望に応えながら、日本を含めて世界中のメーカーの設備・素材を幅広くご用意しています。さらにはお客様の持つ課題や目標を共有し、その解決や挑戦を後押しする、提案営業もおこなっています。」

辰野町に本社を置きながら、海外進出されたきっかけを教えてください。

〈馬淵社長〉
「日本企業のお客様による、海外への工場移転がきっかけです。1980年代後半から、急速な円高の進展などを背景にして、製造業の生産拠点を海外へと移すお客様が増えていきました。しかし、工場を海外へ移したものの、当時は現地で資材・部品の調達ができない状態。そのため、日本から資材を送り込む必要がありました。私たちは、お客様が日本で用意した資材・部品を、海外工場へと輸出する『輸出代行業』をスタートしたのです。

荷物を日本の港に運び、船に乗せて海外現地に送ることはもちろんのこと、現地では税関書類の用意や資材倉庫の確保、そして工場までの輸送手段の調整などが必要です。それらを担うことで、だんだんと現地での行動範囲が広がっていきました。

今では、売上高の６〜７割は海外。拠点は、国内では辰野町と東京、東北、九州。海外では韓国、中国、台湾にあります。日本企業だけでなく、海外企業のお客様が多くなりましたね。当社の社員は世界中のお客様を相手に仕事をしていますので、職場では英語や中国語、韓国語が飛び交っています。」

■ きめ細やかさを武器に、市場を作り出す

商社として関わることで生まれる付加価値について教えてください。

〈馬淵社長〉
「世界を見渡した時に、商社が発展した国はたった一つ、日本です。戦前からある日本独自の業態で、ほかの国にはありません。日本には、昔から商社の基本となった『商人』が存在しました。では、なぜ商社は日本で発達したのでしょうか？

私は、日本人の文化やきめ細やかな性格が生んだ業界だと思っています。日本人は、商品やサービスに対する妥協のないこだわりがあるんです。そのため、“買い手”のお客様から生まれる要望は、非常に奥深いものだと思っています。しかし、それら“買い手”とものづくりを専門とする“売り手”とは、それぞれお互いに視点が異なるもの。そのため、ギャップが生まれることもあるのです。

そこで、売買の間に入るのが商社です。 “買い手”が必要としているものや分からないこと、抱える問題などを“売り手”の代わりに把握し、そして商品の魅力をご提案してきました。

さらに言えるのは、商社の醍醐味は、“売り手”である仕入れ先に縛られないこと。商社は仕入れ先に選択肢を持てるので、“買い手”にとって本当に必要な商品を、ご提案することが叶うのです。」

商社の役割を武器にして、貴社がお客様から支持されている点を教えてください。

〈馬淵社長〉
「“市場を作り出す存在”であることを肝に銘じているからだと思います。お客様から情報をヒアリングするだけではなく、ご提案することで新たな市場が生みだされます。

お客様が抱えているお困りごとや今後の展望をヒアリングし、現在の市場データや情勢を分析。「これから10、20年後、世の中はどう変わるのか」「その中でお客様の業界がどう変わるべきなのか」など、お客様を取り巻く環境や世界情勢を考慮して、未来の市場をご提案する営業をおこないます。

これは、言葉を変えると、“市場を作り出すこと”。未来の市場を作り出すことで、スピード感を持ってお客様の事業をサポートできます。これらは、非常に付加価値が高いものの、難しい仕事。アドバイスだけでなく、こちらもしっかりとサポートする体制を整えてご提案します。商社は市場を作り出す専門家なのかもしれませんね。」

■ 地域、世界、社内で『三方よし』を叶える職場

現在、貴社では求人募集をしています。貴社は、どのような雰囲気の職場でしょうか。

〈馬淵社長〉
「江戸時代、滋賀県の近江商人が唱えた理念である『三方よし』となる状態を理想としています。この『三方よし』とは、“売り手”だけが利益を得ればよいということではなく、“買い手”にとっても、さらには“世間”にとっても望ましい状態を追求する考え方です。

もちろん『三方』の中には、当社の存在も入りますね。いろんな会社・人が関わって仕事が回っていきますので、私たちの周囲が幸せな状態でなければ、私たちも物心両面の幸せを感じられません。当社は、およそ70人という少人数の組織ではありながらも、お客様や社会に認めてもらえる仕事ができるように努めています。」

〈馬淵社長〉
「また、当社の社員は“人”のことが好きというのも特徴的だと思います。当社では、会社という媒体ではなく、人に仕事がくっついていくイメージ。お客様の信用が足りなければ、ヒアリングも叶いませんし、ご提案を信じてもらえませんからね。“人”のことが好きだからこそ“人”のことを互いに信じられる関係性をつくれるのです。

そんな仕事を支えるために重要となるのが、社員同士の関係性。私たちは、まるで家族のように連携し、時には助け合える雰囲気があります。さまざまなバックグラウンドを持つ社員が多く、個性を認めあいながら仕事をしています。

小回りのいい小さな会社だからこそ、叶えられる当社の『三方よし』。語学を生かして働きたい方やIターン、Uターンの方も歓迎です。」

最後に、貴社の今後の展望を教えてください。

〈馬淵社長〉
「これまで、専門的な能力や知識を深めていくことで、高い付加価値のご提案、それから課題解決をおこなってきました。専門商社として生まれた当社ですが、今後は、世界の変化と共に、総合商社に移り変わっていくことでしょう。『光学分野』『エレクトロニクス分野』『ライフサイエンス分野』の３つの事業を核としながら、よりお役に立てるように努めていきたいです。

一方で、地域貢献においては『地域の子どもたちに海外視野を広げてもらいたい』と、地元の学校に英語教材の寄付をしてきましたので、これからも実施するつもりです。さらに、辰野町でつくられる野菜の市場を広げていきたいと考えています。農家の方たちに還元できる新しい仕組みを作っていきますので、ご期待いただきたいです。

今年で66期目の当社は、100年企業を見据えて邁進していきます。」