- 業 種:
- ものづくり
事業者名:辰野目立加工所
お客様は世界基準の開発部門。 頼られる「切削のプロ」
「現在、世界中で多く使われているノコギリの刃形。これは当社に在籍する名工のアイディアです。よく切れるという評判から、その刃形が広まりました。」と話すのは、「有限会社辰野目立加工所」の代表取締役社長 栗林 稔さん。
事業は、機械用切削工具の販売と再研磨、加工。そのほか自社開発に加えて、お客様のニーズに合わせた刃物のオーダーメイドなど、受託開発もおこなっています。お客様はどれも聞いたことのある企業ばかり。
世界中へ強いインパクトを残す名工たちの仕事について伺いました。
■ 切削のプロとして、お困りごとを解決
機械用刃物の量産・開発がメイン事業。そして切削のプロたちは「どのように切削していけばいいのか」方法論も生み出します。切削において、お客様からお困りごとを聞いて、解決をはかっていきます。
「どの仕事も機密事項となっていますので、仕事の詳細は話せません。しかし、みなさんが一度は耳にしたことがあるであろうたくさんの企業で、我々の切削技術が使われています。」と栗林さん。
携わった案件は、多種多様。医療、車、家電、アパレル、廃棄物処理、食品、航空機、ロケットなどの分野において、世界で活躍する企業の案件ばかりです。日本国内外問わず、お客様の期待に応えています。
■ 再研磨から、新品開発への道を拓く
創業は昭和41年。かつて長野県が設置した、ノコギリの目立職人の養成所があった土地で始まりました。「目立」という名前の由来は、江戸時代のノコギリの作り方から。葛飾北斎の富嶽三十六景「遠江山中」には、鉄板を右に左に叩いて「目を立てる」描写が描かれています。
「昔は道路や建物を造るために、材木が必要でした。木で杭を打ち、板を入れて、コンクリートを流し込んで、道路やトンネルなどが作られました。辰野地域には、かつて36軒の木材製材所があったので、当社はそこで使われる刃物の再研磨を担っていました。」
時代とともに、木材から金属部品を切削する刃物へと事業を拡大。引き続き、新品同様の切れ味によみがえらせます。
しかし、次第に再研磨から新品開発への道が拓けます。開発が始まったのは1995年。お客様から「再研磨してもらったら、本当によく切れる。その技術を活かして新品を作ったらどうだ」と提案されたのです。
「最初の仕事は、とても短納期の受注。お客様のお困りごとを解決した事例です。
お客様が1か月かけて刃物を開発したそうですが、不良品が出てしまったのだそう。もう1か月かかれば、スケジュールが遅れてしまうとのことで、当社にすぐに開発してほしいと、ご依頼がありました。」
開発した刃物は無事に採用。評判が広まり、受注開発を手掛けることとなりました。現在は、今までのノウハウを武器にして、常時300企業のお客様とタイアップしています。
「“周囲がやらないことをやる。周囲ができないことをやる。”をモットーに、世界最高水準の技術を有するお客様に、満足していただける製品を作っていきたいです。」と栗林さん。
■ 周囲がやらないこと、周囲ができないことに挑戦
現在の目標は「世界初・業界初の製品を毎年リリースする」こと。
自社開発では、「クロス穴ドリル」の特許を取得しています。「バリ」という、出っ張りやトゲを作らずに加工できることから、生産性向上を狙える刃物です。ある大企業の量産設備でも使われています。
現在、販売に向けて動いているのは、シェールオイルのプラントで使われるパイプ切断用の刃物「ガイド付チップソー(仮)」。北米市場へ売り出す予定です。
「パイプは少し曲がっています。パイプを切るたびに、パイプは重力に負けて落ちていくので、普通の刃物ではパイプに挟まれて壊れてしまうんです。しかし、うちの『ガイド付チップソー(仮)』を使えば、スムーズに切ることができます。」
今後目指したいのは、ブランドイメージの向上。切削において頼られる「METATE」ブランドを、もっと広めていきます。
《若手社員へインタビュー》
「電話対応は、会社の代表として電話に出ているということ。お客様に不快の思いをさせないように、明るさや丁寧さを心がけています。」と話すのは、入社5年目のRさん。伝票発行、納品書作成などの事務作業を担当しています。
「お客様からお話しいただいた生産にまつわる情報を、社内の職人に伝えるのも大切な仕事です。仕事内容は幅広いと思います。覚えることもたくさんあるので、新入社員の頃は大変でした。」
専門用語も多く飛び交う職場のため、新入社員の時には、先輩たちが何を話しているのか分からないこともあったのだそう。しかし、製品に触れるうちに、どんどん知識が付いていきました。今では、社内生産を支える大事な一員です。
「生産を支えていること、そして感謝してもらえることを実感できるので、やりがいに繋がります。」
今後の目標は“請求書や納品書の字を綺麗に書くこと、製品知識をもっと付けること”です。
「私は、お客様から電話やメールで発注をいただいた時点で、生産が始まっていると考えています。つまり、請求書や納品書も商品の一部。気持ちを込めたいですね。
そして発注の際は、お客さんの伝えたいことをもっと聞き取りたいと考えています。」
次にお話を聞いたのが入社3年目のYさん。刃物を研磨する職人です。
「新品からメンテナンスまで担当します。砥石を回しながら、刃物を押し当てて削っていきます。刃物ごとに削り方がまったく異なるので、どんどん覚えていきたいです。」とYさん。
細かいところの研磨は神経を使うのだそう。しかし、難しい研磨ほどできるようになったら嬉しいものです。
「『この刃物を研ぐには、技術が必要だぞ。』そう先輩に言われながら、仕事を任せてもらえた時のこと。ドリルの刃に合わせて、タイミングよく砥石を当てるという、特殊な技術が必要でした。うまくできた時は、とても嬉しかったですね。」
“今後は一からひとりで任せてもらえるようになりたい”と意気込みます。
- 会社情報
会社情報 事業者名 辰野目立加工所 所在地 〒399-0421 長野県上伊那郡辰野町辰野1550 電話番号 0266-41-0875 FAX 0266-41-3421 URL http://www.saw-dr.co.jp/ 設立年月日 昭和41年4月1日 代表者名 代表取締役 栗林 稔 主な業種 製造業 事業内容 機械用切削工具の販売と再研磨、加工
- 会社情報
事業者名 辰野目立加工所 所在地 〒399-0421 長野県上伊那郡辰野町辰野1550 電話番号 0266-41-0875 FAX 0266-41-3421 URL http://www.saw-dr.co.jp/ 設立年月日 昭和41年4月1日 代表者名 代表取締役 栗林 稔 主な業種 製造業 事業内容 機械用切削工具の販売と再研磨、加工