- 業 種:
- 菓子製造 /
- 販売
事業者名:菓子司 味香月堂
受け継がれるあんこの技術で 開発を続ける和菓子屋
辰野町のお土産「ほたる饅頭」の今の形を考案したのは、辰野駅前にある「菓子司 味香月堂」です。初代店主が考案し、辰野町全体に広がりました。
「菓子司 味香月堂」が創業したのは1938年と、戦時中の苦難を乗り越えて続いてきました。「手作りにこだわり、あんこもすべて自家製です。あんこをつくる技術を活かしながら商品開発を続けています」と話すのは、3代目店主の小澤良教さん。栗やいちご、酒粕、野菜などを練り込んだ、ひと味変わったあんこを開発し続けています。
商品のこだわりや、開発の秘訣、これまでに生まれた商品などについて伺いました。
︎戦争を乗り越えて、続く伝統
「菓子司 味香月堂」は1938年、小澤さんの祖父により創業されました。しかし、その3年後に太平洋戦争が始まり、厳しい時代に突入しました。
「戦争が激化するなか、砂糖が配給制になるなど菓子製造が困難となり、祖父は別の仕事をしていたこともあったそうです。しかし、戦争を乗り越えて、店を再開しました。父も東京で和菓子と洋菓子の修業をしたのち、一緒に店を切り盛りするようになったと聞いています。
一方、私は最初から家業を継ぐつもりはなく、製造業のサラリーマンになりました。しかし、父が高齢となり店の経営が難しくなったとき“店を存続させたい”と思い、サラリーマンを辞めて家業に入りました。」と小澤さん。
小澤さんが店に入ったのは2002年。技術を学ぶために、一緒に先代と仕事をしながら菓子づくりの技術と心得を身につけて、その2年後、店主として経営を引き継ぎました。現在の新しい店舗に移って5年目を迎えます。
あんこが命 旬やアイディアが詰まった和菓子
味香月堂では、すべて手作業で製造をおこなっています。もちろん、あんこも手作りで仕上げます。
小澤さんは「味香月堂の強みは、何といってもあんこです。小豆は北海道から取り寄せていて、受け継がれる技術で製造しています。あんこを楽しめる定番のどら焼きは、一番の売れ筋の商品です。」と話します。
あんこをアレンジした人気商品のうち、ひとつは『たつのど真ん中』です。辰の形の最中にチョコを薄く塗って、ピーナッツあんを挟んでいます。名前は「辰」と「辰野」、辰野が日本の「ど真ん中」にある意味が込められています。
「ほかにも、もっちりとした皮にあんこと生クリームを挟んでいる『もちもちどら焼き』にもファンがいらっしゃいます。冷凍で保存されているため、冷凍のままお持ち帰りいただきます。こちらは、半解凍の状態で召し上がっていただくのがおすすめです。」と小澤さん。
そのほか、季節に合わせた限定商品も並びます。例えば、秋には、栗の渋皮煮や、栗あんのどら焼きが登場し、秋の味覚を堪能できます。そして栗の時期が終われば、次はイチゴや酒粕を使った商品へと切り替わります。
商品は、町内のコンビニや、町外の農産物直売所などでも取り扱われていて、地域の方や、観光客に選ばれています。
「ホタルの里」、辰野町のお土産「ほたる饅頭」に
「ほたる饅頭」が今の形になったきっかけは、実は味香月堂の饅頭です。かつて「ほたる饅頭」は、各店舗が独自の製法でつくっていて、蒸し饅頭や焼き饅頭など、その形や味に統一感がありませんでした。
地域のお祭りや観光で「ほたる饅頭」を求めるお客様が増える中で、「どのお店の商品も統一した形にしよう」という声があがり、地域の菓子組合で話し合いがおこなわれました。
「当時、白あんにくるみを包んだ当店の『ホタルの里』という蒸し饅頭の製法が、日持ちが良く、お土産としても適していると評価されました。製法が辰野中に共有されて、今の『ほたる饅頭』が誕生したのです。」
時代の流れとともに店舗数が減少し、現在では数えるほどの和菓子屋でしか製造されていませんが、『ほたる饅頭』は初代から受け継がれた味を守り続けて、今なお、多くのお客様に支持されています。
地産地消 「地元ならではの価値」をお菓子に
味香月堂では、地元の素材を大切にした「地産地消」を意識した商品づくりにも取り組んでいます。特に「野菜どら」は、地元野菜を生かした個性的などら焼きです。地元で収穫されたトマトや人参、ほうれん草を、生地とあんこの両方に練り込むことで、素材の鮮やかな色合いや風味を、存分に引き出しています。
「蒸しどら焼きのふわふわとした軽い食感の生地に、野菜の自然な甘みを感じられるあんこを挟んでいます。」と小澤さん。
例えばトマトは「ずく出せトマト」という地域のこだわり野菜を使用しています。ほかにも、露地栽培された今村産のいちごを使った「今村産いちごどら焼き」や、地元の酒蔵「夜明け前」の酒粕を使った「粕まん」や「柏餅」など、地域とのコラボレーション商品を生み出しています。
受け継がれる、あんこ製造技術を活かした商品開発
これまで、あんこを使った新商品が多く開発されてきました。その商品開発は、あんこづくりの技術があるからこそ、可能になることです。
「自家製なので、試作に柔軟な対応ができます。商品開発を積極的におこなって、毎年ひとつは新しい商品を発表していきたいです。」と小澤さん。
ただし、ありふれたものを作るのではなく、地元の素材を活用したユニークな商品が目標。地域性を大切にしつつ、新しい価値を生み出したいと考えています。
「甘いものが苦手な方にも楽しんでいただける “あんこだけどあんこらしくない” 商品開発をすることで、さらに幅広い層から愛されるお店を目指したいですね。伝統を守りつつ新しい挑戦を進めていきます。」
地域の魅力を、和菓子に込める
味香月堂では、駅前の立地の利便性を活かし、お土産を気軽に購入していただける存在でありたいと考えています。そのために、最も大切にしていきたいのは、やはり「おいしさ」です。
「私たちは、まず自分たちで、おいしいと納得できるものだけをお客様に提供したいと思っています。どんな商品でも素材の良さを引き出し、一つひとつ丁寧につくることを心掛けていきます。そして、当店の商品によって、少しでも辰野町の魅力を伝えることができれば、嬉しく思います。」と小澤さん。
辰野町の名品として、お土産として、その土地ならではの味を楽しめるように、味香月堂では伝統の味や、新しい味を提供し続けていきます。
- 会社情報
会社情報 事業者名 菓子司 味香月堂 所在地 〒399-0421 長野県上伊那郡辰野町大字辰野1794-2 電話番号 0266-43-1466 FAX 0266-43-1466 設立年月日 昭和 13年 4月 代表者名 店主 小澤良教 全従業員数 3人(パート含む)(内、男性 1人、 女性 2人) 主な業種 菓子製造・販売 事業内容 和菓子 製造・販売
- 会社情報
事業者名 菓子司 味香月堂 所在地 〒399-0421 長野県上伊那郡辰野町大字辰野1794-2 電話番号 0266-43-1466 FAX 0266-43-1466 設立年月日 昭和 13年 4月 代表者名 店主 小澤良教 全従業員数 3人(パート含む)(内、男性 1人、 女性 2人) 主な業種 菓子製造・販売 事業内容 和菓子 製造・販売