綺麗な水と空気に恵まれた　　　　　　　　　　　　　清潔な点眼薬工場

名古屋市に本社を置くロートニッテン株式会社長野工場は、点眼薬などの医薬品を製造しています。前身である日本点眼薬研究所は1961年に創業、2022年にロート製薬株式会社のグループ会社となりました。

「ロートニッテンでは医師からの処方箋により処方される『医療用医薬品』を生産しています。」と話すのは、長野工場長の山内さんと副工場長の松田さんです。

点眼薬は眼に直接ふれるもの。厳格な管理が必要な製品を扱う工場としての技術、そして今後の思いをお伺いしました。

◾️清浄な水のある環境

長野工場は2002年から製造をスタートし、緑内障治療薬、アレルギー治療薬等、約50品目の点眼薬と、うがい液を製造しています

「点眼薬に欠かせない清浄な水と、交通アクセスの利便性から辰野に長野工場が建てられました。」

通常、点眼薬には防腐剤が入っていますが、防腐剤を含まない点眼薬も製造していることが、長野工場の特徴の一つです。

点眼薬は、開封後にくり返し使用されることから、細菌などの微生物による汚染防止の目的で、通常は防腐剤が含まれています。この防腐剤が含まれた点眼薬を短い期間に使用しても傷害はありませんが、長い間使用し続けると、角膜に傷がつき、目の表面に強い痛みが生じることがあると言われています。

そこで、「防腐剤を含まない目に優しい点眼薬を患者様に提供したい」という思いから、容器メーカーと共同で、外部からの細菌の侵入を防ぐ構造である「PF デラミ容器®」を開発し、防腐剤無添加の点眼薬を医療機関に供給しています。

◾️目に直接ふれる薬。厳密な管理・検査体制

長野工場では、原料入荷から製造、製品出荷まで一貫しておこなっております。

「高品質な製品を供給するために、徹底した品質管理をおこなっています。点眼薬の製造では、空気中の目に見えない細菌やほこりなどを取り除いた無菌環境を維持したクリーンルーム内で、滅菌した容器に薬液を充填します。」

「もちろん従事する社員は、徹底した品質教育を受け、生産及び品質試験のエキスパートとして働いております。」と工場長の山内さん。

「患者さまの目に直接ふれるものだからこそ、厳密に検査を行い、安心安全な製品の安定供給に取り組んでいます。」と副工場長の松田さん。

◾️人財による、独自の検査装置や機器の開発

長野工場の強みは、生産技術力にあります。工場内には、精密機械の製造現場で、技術・技能・経験を積んだ技術者が多くいます。

「精密機械に強い人財がいるのは、この辰野地域（上伊那地域）ならではなのかもしれません。

例えば、新しい設備を検討する際、市販の装置をそのまま導入するのではなく、生産現場にマッチした機能を有した設備の導入が実現出来ています。

医薬･化学の専門知識を有した人財に、技術的側面から製造を支える地域人財が加わったことで、それぞれのノウハウが融合された工場になりました。」

ロートニッテンとしての基本理念は、「すこやかな視界への挑戦」。そして、長野工場の生産基盤となる考えは「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の５Sです。

「やはり患者さまの目に入る医薬品を生産するためには、工場も綺麗でなければいけません。社員全員で、この考えを意識し進めています。

生産エリア、試験エリアは常に綺麗にすることはもちろんですが、玄関や事務室など、会社全体も同様です。日頃から5Sを意識することで、医薬品の生産活動は保たれます。」

◾️地域に密着した工場へ

長野工場の目指す姿は「地域に密着した工場」です。すでに活動をスタートしているのが、辰野中学校でおこなう「お仕事チャレンジ」のイベントへの参加、また、近隣企業への技術支援、さらに南信工科短期大学校へのサポートにも取り組んでいます。

「弊社は、地域ではまだまだ知られてない会社だと思います。学生さんをはじめ、地域の皆さんに知っていただけたら嬉しいですね。

また、高齢者向けの点眼薬などを多く生産していますので、地域の高齢者の方には、この地域でつくられていることを知ってもらい、身近に感じてもらえたらありがたいです。」

厳重な検査体制のなか、地域の自然環境を活かしながら、今後も全国へと医薬品の安定供給をおこなう使命を果たしていきます。