- 業 種:
- ものづくり
事業者名:坂本屋生コン株式会社
辰野地域のインフラや経済活動 災害に対応する生コン会社
わたしたちの生活に欠かせない高速道路、建築物、トンネル、橋などの構造材料となるコンクリート。辰野町周辺において、コンクリートが固まる前の状態である「生コンクリート(以下、生コン)」を製造し、供給しているのは「坂本屋生コン株式会社」です。
「生コンは約2時間で固まりはじめてしまうため、練り混ぜ開始から90分以内に現場に送り届けなければならないルールがあります。そのためフレッシュコンクリートとも呼ばれています。」と教えてくれたのは、代表取締役の有賀喜文さんです。
仕事の内容や、災害防止・復興時に備える今後の事業展開などを伺いました。
◾︎社会インフラや店舗、住宅の構造部材
坂本屋生コンでは、辰野病院や、町内の小中学校などの公共施設、そのほか店舗、工場、一般住宅の基礎部分などの民間建築物などを担当しています。さらに2006年の豪雨災害により被災した天竜川の堤防や、支流の沢にある砂防など、多くの災害復旧工事にも携わりました。
それら工事現場で使用されたコンクリートは、敷地内にある高さ25mもの「コンクリートプラント」のもとで製造されています。プラント上部に、生コンの材料となるセメントをはじめ、砂、砂利、水などのタンクがあり、注文に応じた配合と量が計量されて練り混ぜられると、固まる前のやわらかい状態の生コンができあがります。
そして現場に運ばれて固まると、わたしたちがいつも見ているコンクリートとなるのです。
◾︎安定した性質で、現場に届けるために
常に安定した品質の生コンを届けることが求められているので、国の規格である“JIS規格”に従う必要があります。生コンのJIS規格(JIS A 5308レディミクストコンクリート)では「プラントで製造してからアジテータートラック(いわゆる生コン車)で現場まで運搬し荷卸しするまで」を保証しています。そのためJISマークは納品伝票に印字されています。
上伊那生コン事業協同組合に所属し、現在は練り混ぜてから90分以内で届けられる辰野町・箕輪町周辺の上伊那北部を担当エリアとしています。
「生コンクリートは“生もの”となる半製品。出荷の直前に計量・練り混ぜをおこない、生コンが分離しないように攪拌(かくはん)しながら、鮮度を保ったまま運搬することが求められています。フレッシュコンクリートと呼ばれる所以ですね。当社では生コン車を9台揃えています。」と有賀さん。
さらに、品質試験は毎日おこなわれていて、現場までの配達時間や、材料の状態、当日の天候などにあわせて配合の調整もしています。
「全国で統一された生コンが求められていますので、現場の天候や地域ごとの材料の質によって生コンの性質が違っていたら困りますよね。チェーン店でどこでも同じ値段で同じ味の定食が食べられる仕組みと似ています。」
現場によって求められる生コンの配合が異なるため、坂本屋生コンでは1000種類ほどの配合の出荷が可能です。例えば、建築工事と土木工事で使われる生コンは、まったく異なるものになるそうです。
◾︎特殊な生コンで挑んだ、高速道路の改良工事
通常使われるJIS規格の生コン以外にも、工事の要求に応じて特殊な生コンが提案されることがあります。例えば2016年度、NEXCO中日本が管轄する『中央自動車道の辰野トンネル〜伊北インターチェンジ間の改良工事』を担当した際は、JIS規格ではない“短時間で高い強度が出て、収縮が少ない生コン”が採用されました。
『天竜川橋』の床版や壁、『辰野トンネル』の天井・側壁のコンクリートに、冬場の道路凍結防止のために散布される塩化カルシウムによるひび割れや損傷が起きてしまったために、床版・壁の取替えやトンネルの大幅な補修・補強が必要とされた工事です。
「取り扱ったことの無い配合の生コンだったため、最適な配合を試行錯誤で見つけ出していきました。」
当時、高速道路を永続的に健全な状態に保持する『特定更新事業』として、注目が集まりました。
◾︎暮らしに必要な構造物をつくる、新鮮な生コンクリート
近年は、全国各地の大規模な工事のスタートに伴い、生コン材料であるセメントや砂、砂利などが確保しにくい状態となっています。合わせてドライバーなどの人材不足による供給の減少や、輸送の遅延なども業界共通の課題です。
「上伊那北部の需要に応えるためには、材料を現在より大量にストックしておく必要があります。当社では、いつ起こるかわからない需要の拡大に備えて、材料のストックを増やす予定です。今年中に事務所を移転して、雨風の影響を受けない屋根付きのストックヤードと呼ばれる保管所をつくります。
最近では、地震災害や気候変動にともなう豪雨災害が全国各地で頻発していますね。その被害を食い止めるための構造物を建設する工事や、万が一の復興工事の際にも、生コンクリートは不可欠です。」
これからも、地域全体の安全・安心や、経済活動に貢献する企業の一員として、重要な役割を果たしていきたいと話します。
◾︎品質保証の番人として
社員の方にもお話を伺いました。高校卒業後に入社して、今年で入社22年目の林直樹さん。現在は、生コンの品質を試験・管理する「試験室長」と「品質管理責任者」を担当しています。
「お客さまごとに要求される配合が異なりますので、その要求を満たす生コンが出荷されているか品質をチェックしています。規格で決められた数値をゴールとして、生コンを調整していくイメージです。」と林さん。
現在、1日に10件ほどの出荷があり、品質証明書などとともに現場に納めています。
先述の『中央自動車道の辰野トンネル〜伊北インターチェンジ間の改良工事』を担当した際に、“試験練り”を担当したのが林さんです。
「JIS規格ではない“短時間で高い強度が出て収縮が少ない生コン”の配合を決める時は、建設会社の方との打ち合わせや、現場に合うような生コン配合を確認する“試験練り”を繰り返しました。
試行錯誤して配合が決まったときは、嬉しかったです。その後も無事に工事が進んでいくと安心します。」
目標はさらなる上位資格の取得です。現在は『コンクリート技士』を取得しており、今後は『コンクリート主任技士』や『施工管理技士』『コンクリート診断士』など、関連する資格取得を目指してレベルアップを目指します。
「発注者から支持されるためにも、資格取得と技術向上は重要な課題です。今後も地域の需要に応えていきたいと思います。」
- 会社情報
会社情報 事業者名 坂本屋生コン株式会社 所在地 〒399-0424 長野県上伊那郡辰野町大字赤羽386番地 電話番号 0266-41-1520 FAX 0266-41-2369 E-mail skyremic@chorus.ocn.ne.jp 設立年月日 1969年 2月 1日 資本金 11,250,000円 代表者名 代表取締役 有賀 喜文 全従業員数 14人(内、男性 12人、 女性 2人) 主な業種 製造業、卸小売業 事業内容 生コンクリートの製造販売
骨材(砂利、砂、砕石)、袋セメント等の建設資材の販売会社PR 日本工業規格(JIS A 5308)レディーミクストコンクリート(普通コンクリート)の製品認証工場。創業から半世紀を過ぎ創業時の社訓である
一、企画の遵守は良品が生まれる。
一、仕事に誠意あれば信頼が生まれる。
一、感謝の心あれば幸福が生まれる。
を基に品質・生産・輸送全般にプロ集団としての誇りを持ち、地域社会に貢献をしていきたい。
- 会社情報
事業者名 坂本屋生コン株式会社 所在地 〒399-0424 長野県上伊那郡辰野町大字赤羽386番地 電話番号 0266-41-1520 FAX 0266-41-2369 E-mail skyremic@chorus.ocn.ne.jp 設立年月日 1969年 2月 1日 資本金 11,250,000円 代表者名 代表取締役 有賀 喜文 全従業員数 14人(内、男性 12人、 女性 2人) 主な業種 製造業、卸小売業 事業内容 生コンクリートの製造販売
骨材(砂利、砂、砕石)、袋セメント等の建設資材の販売会社PR 日本工業規格(JIS A 5308)レディーミクストコンクリート(普通コンクリート)の製品認証工場。創業から半世紀を過ぎ創業時の社訓である
一、企画の遵守は良品が生まれる。
一、仕事に誠意あれば信頼が生まれる。
一、感謝の心あれば幸福が生まれる。
を基に品質・生産・輸送全般にプロ集団としての誇りを持ち、地域社会に貢献をしていきたい。