医療事業に集中。　　　　　　　　　　　　　　　　　「より良く」のマインドで生まれる技術革新

2022年4月から、長野オリンパス株式会社は医療事業に集中した会社に生まれ変わりました。医療用レンズの生産環境を新しく整備し、新社屋建設にも着手しています。

「オリンパスの主力事業である消化器内視鏡は世界シェア70％。これからも世界中の人々の健康に貢献してまいります。」と話すのは、代表取締役社長である本田達也さん。そんな医療現場から支持される製品を生み出す力の源は、職場の「改善活動」とのこと。仕事のしやすさや、正確さなどを追求する改善活動が、日々おこなわれています。

長年にわたり培われてきた技術や社員のモチベーションが生まれる改善活動などについてお伺いしました。

■ 「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」を軸に

世界から求められている製品や、それを支える理念について教えてください。

〈本田社長〉
「長野オリンパスは、1943年に設立した諏訪工場と1944年設立の伊那工場をルーツとし2011年に設立しました。以来、カメラ・顕微鏡製品・部品の生産、そして医療用内視鏡に用いられるレンズや、プラスチック成形部品の製造、医療用内視鏡の修理などの事業を展開してきました。
2021年に映像事業を譲渡、2022年には科学事業が分社したことで、2022年4月から医療事業に集中した新しい長野オリンパスがスタートしました。

当社は、オリンパスグループの医療用内視鏡や治療機器の提供を通じ、世界中の患者さんの健康と安心のため『早期診断・早期治療』、心身への負担が少ない『低侵襲治療』への貢献を追求し続けています。例えばより細い内視鏡の開発、生産も私たちの役割です。レンズやその他の部品をより小型にできれば、内視鏡をより細くすることが可能となります。負担が少なく気軽に検査を受けられる環境の実現に貢献していきます。」

■ 消化器内視鏡は世界シェア70％。医療現場を支える技術

生産部品について、詳しく教えてください。

〈本田社長〉
「まず、オリンパスが長年にわたり力を入れてきた『レンズ』です。オリンパスの医療製品の性能を左右する重要な部品です。設計通りの寸法や形状にした上で、所定のコーティングを施すことで、狙い通りの性能が発揮されます。長野オリンパスでは、最も小さいもので直径約2mmのレンズを生産しています。小型化・高精度が求められますので、工程によっては高精度の測定器や顕微鏡を使いながらレンズを生産しています。

AIによる画像診断の開発も進んでいますが、画像をとらえるのはレンズの役割であることに変わりはありません。周囲のシステムの進歩を支えることができる付加価値の高いレンズを供給し続けることで、医療の進歩に貢献を続けていきます。」

〈本田社長〉
「また、内視鏡とともに使用する処置具製品のハンドルや、内視鏡の中に処置具を通すためのチューブなどの『プラスチック成形品』も生産しています。多種多様な材料や、複雑な形状の成形部品をつくるため、先進的なプラスチック成形技術開発に取り組んでいます。

高精度な成形品をつくるためには、プラスチックを流し入れる金型も、数μm(1/1000mm)の精度で丁寧に仕上げる必要があります。また、医療分野への供給製品は、清潔さへの要求や法規制が厳しいので、ゴミ・ホコリの混入しない作業環境を整えています。

修理サービスとしては、西日本エリアのお客様の修理依頼を担っています。お客様の医療を止めないために、お客様から預かる故障品の修理に加え、修理期間中に貸し出す代替品の点検･修理もおこないます。」

オリンパスの主力事業である消化器内視鏡は世界シェア70％とのこと。なぜ貴社製品は、現場で支持されるのでしょうか。

〈本田社長〉
「オリンパスによる内視鏡開発のスタートは、『日本人に多い胃がんをなんとか治したい、胃の中を写せるカメラが欲しい』という医師からの依頼がきっかけでした。1952年、世界初の実用的な胃カメラが誕生したのです。

以来、長年にわたり、ユーザーである医療従事者の方々のご要望をお伺いしながら、製品開発・製造を共に取り組んできました。内視鏡医療の進歩が、患者さんのケアに貢献してきた歴史から、ご支持をいただいているのだと思います。」

■ 「改善活動」が、モチベーションや技術革新の原動力

改善活動に力を入れているそうですね。

〈本田社長〉
「改善活動とは、生産現場や業務プロセスをより良くする活動のこと。改善活動によって、あらゆるムダを省くことができます。例えば不良品が少なくなれば、安全で安心な品質の実現に繋がりますし、やり直すための時間も費用も削減できるので、最終的には利益に直結します。

また、お客様に必要とされるにはQuality（品質）、Cost（コスト）、Delivery（納期）に応えることは必須です。この実現のために、改善活動は全ての職場において、やり続けなければなりません。作業手順やレイアウトを変えることや、プロセスのシンプル化などの着手しやすいことから、もっと全体的で長期的なテーマまで、さまざまな着眼点を持ち改善を進めていくことが必要です。

そして、社員のモチベーションにもつながります。仕事をひとつずつ理解・深掘りして改善をしていくことで、仕事の意味を改めてとらえることができ、自らもよりよく成長することにつながると思います。」

現場の改善点は、職場の中にいると当たり前になってしまい、気づくことができない場合もあると思います。改善点を見つけるために、どのような仕組みがあるのでしょうか？

〈本田社長〉
「オリンパスグループには、トヨタ生産方式をベースにした生産革新活動を継続している専門部署、そして長野オリンパス内にも生産革新活動を推進する部署があります。職場の外からの新しい視点が入ることによって、当たり前に見えて、気づいていなかった職場の課題や問題点が浮かび上がります。グループ内、社内の専門部隊と連携して、改善・改革が止まらないような活動の仕組みが推進されています。」

改善は、社員のモチベーションにもつながるのですね。

〈本田社長〉
「毎日を変化なく過ごすのではなく、より良くしようとするマインドを持ち行動することで、個人はもちろん会社全体をより良い方向へ変えていくことができます。改善活動が、会社や社員の成長や発展にとって、一番の原動力になると信じています。

一方で、社員の行動を表彰するしくみもあります。オリンパスグループでは社員の行動指標を『コアバリュー』として『誠実』『共感』『長期的視点』『俊敏』『結束』という5つの価値観を掲げています。毎月、『コアバリューにふさわしい行動』ができた社員を、周囲の社員が推薦する仕組みを運用しています。毎月100件を超える推薦があり、特に優れている方には『コアバリュー賞』が送られます。ポジティブな気持ちを社員同士で送り合える大変良い機会です。」

コアバリュ―賞 最優秀賞・優秀賞 受賞者

■ 「より良くしよう」が、前へ進む力に

こちらで働く社員の方は、どのような方がいらっしゃるのでしょう？

〈本田社長〉
「私たちの存在意義は『世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現』。長野オリンパスの従業員全員が、共通の理解を持って仕事へ邁進しています。世界中の患者さんの健康への願いを込めながら、部品製造と修理を一つひとつ誠実に行い、お客様にお届けしていきたいと思っています。

そして、私が仕事を進める上でいちばん重要だと思っているのは『より良くしていこう』というマインドがあること。毎日いろいろな課題が出てくるなかで、その解決に向けて挑戦し、最後までしっかりとやり抜く。そういった想いが必要です。」

会社の、今後の展望を教えてください。

〈本田社長〉
「まずは、地元に貢献できるような会社になっていきたいです。1982年に諏訪工場が辰野工場に移転して以来、40年以上も辰野町にはお世話になっています。2022年には隣接する土地を取得し、新社屋建設を着手しました。これは、オリンパスとして今後も辰野町で事業を継続していく決意を明らかにしたものです。基本は、この町で事業をしっかりと継続すること。そして、オリンパスグループにおいても、社会全体においても必要とされる会社となり、事業を継続し続けていくことが重要だと思っています。

そのためには、改善活動で会社の足腰を鍛えて、歩み続けたいと考えています。世の中は常に前に進んでいるのに、自分たちが進まなかったら、遅れていってしまう。現状に満足せず、一歩ずつ確実に、歩んでいく所存です。」

内視鏡の詳細説明は、以下をご確認下さい。

https://www.olympus.co.jp/products/medical/outline.html?page=company