業  種:
  • サービス

事業者名:株式会社コイケ(古民家ゆいまーる)

人を繋ぐゲストハウス                    辰野の魅力の発見拠点

 

2016年、辰野駅近くに開設されたゲストハウス「古民家ゆいまーる」。部屋を貸したい人(ホスト)と利用者(ゲスト)をつなぐWebサービス「Airbnb(エアービーアンドビー)」で評価の高い、一棟貸しの古民家宿です。

いろんなゲストから聞こえてくるのは、地元の人が見逃してしまっている辰野の魅力。「辰野って、ガイドブックにもネットにも大して載ってないけど、実際に訪れてみたら、良いところがたくさんあるんですって。ゲストの皆さんは、それぞれお気に入りを見つけているみたいですね。」と話すのは「古民家ゆいまーる」を運営する矢ケ崎 浩一郎さんと、芳恵さん。

「古民家ゆいまーる(以下、ゆいまーる)」としてのおもてなしの心や、ゲストから改めて伝わる辰野の魅力について、伺いました。

 

 

 

■海外、地元からも愛されるゲストハウスの利用方法

 

宿泊施設となるのは、矢ケ崎さんの実家の古民家。養蚕が営まれていた築200年近い古民家をリノベーションして、貸し出しています。

ゲストの利用目的はさまざま。松本市や奈良井宿などを中心とした長野旅行の拠点や、あえて何もしない時間を楽しむため、ほかにもデジタルデトックスをするきっかけや、移住を考えている方のお試し移住など。さらには、地元の人にも使われています。

「地元の人には“離れの家“のように使っていただいています。例えば、お祝い事や法事などで、親戚を泊められる場所として。素泊まりのみで食事提供はしていないのですが、リビングとキッチンがあるので、自炊や持ち込みでご飯を食べていただけます。リラックスしてもらえたら嬉しいです。」と浩一郎さん。

古民家への懐かしさや、ノスタルジックな思いが募るゲストハウス。日本だけでなく、海外からも予約が入ります。古いもの好きな外国人ゲストは、日本の古民家にも関心を向けているようです。

 

 

古民家をリノベーションしたのは15年前。賃貸にしていたものの、ほかの活用方法を探していました。そこで見つけたのが「Airbnb(エアービーアンドビー)」。ホスト登録2日後には、チューリッヒから来日するゲストによる予約リクエストがあり、ゆいまーるは始まりました。

「こちらが旅をせずとも、ゲストが来てくれるから出会いがある。いろんな人と出会えるのは、面白いですね。親戚がどんどん増えていく感じがします。」と芳恵さん。

ゆいまーるには多くのリピーターがいます。例えば「子どもに故郷をつくってあげたい」と、疑似ふるさと体験のように、3年連続で数日間滞在した日本人家族。さらに、リモートワークで何度も利用するゲストも。都会では仕事とプライベートの気分転換が難しい方でも、こちらでは近所を歩いたり、薪ストーブへ薪を焚べる作業をしたりすると、癒されるのだそう。

「リモートワークをしながら利用したご夫婦は『東京より野菜が安い』と感激して自炊していましたね。そして『酒屋に行くと、東京では手に入れられないような日本酒やワインが飲める』と好評でした。2回目のご利用では、飲み仲間を連れて来て楽しんでいましたね。」と浩一郎さん。

利用するたびに美味しいワインや地酒、店主が紹介してくれる居心地の良いお店など、お気に入りが増えていきます。決まった曜日にしか開いてない店もあるので、その曜日に合わせて利用されることもあるそうです。

 

 

 

■絶妙な距離感で、見守る心遣い

 

お二人が大事にしているのは、ゲストが求める距離感で接することです。

「私たちは “束の間のご近所さん” みたいな感じで接しています。『困ったことがあれば、いつでも言ってくださいね』みたいな、付かず離れずの距離で見守る感じ。」と芳恵さん。

ゆっくり家族だけで過ごしたいゲストもいれば、ホストと関わりたいゲストもいます。様子を伺って、それに応じているのだそう。

「前者ならそっと遠くから見守りますし、後者なら一緒にご飯を食べることもあります。仲良くなって贈り物をしあったり、家族ぐるみで遊ぶようになったりしたゲストもいますね。」

ゲストを気遣い、ゲストの心地よい距離感を測っていく。おふたりの根底にあるのは「安心してここで過ごしてほしい」という思いです。

「安心して過ごしてもらうために、神経を使っていますね。例えば、大雨で天竜川が放水するときはサイレンが鳴るんですが、ゲストは知らないので、びっくりしますよね。だから、事前に大丈夫だと伝えるのを忘れないようにしています。」

“束の間のご近所さん”として、万全の気遣いを払います。

 

 

 

■ゲストと町を繋げて、広がる世界

 

外国人ゲストが町の店を利用する際、ゲストと店の人の言葉が通じなくて、お互いに戸惑ってしまうこともあります。そうならないように、最初のつなぎ役を、芳恵さんが引き受けます。

「最初だけ『うちのお客さんですので、よろしくお願いします』みたいに紹介します。しかし、そこの関係性を邪魔しないように、あんまり私が長く居すぎないようにしています。たどたどしい英語を話す店主とでも、ゲストはコミュニケーションを楽しんで帰ってきます。そういうのが旅の印象として残ったりしますよね。」

日本人ゲストの場合でも、つなぎ役をかってでます。価値観が似ている人や、今後につながりそうな人が、住民のなかで思い浮かんだ時、お互いにとって良い機会になりそうだとピンとくれば、出会いをつなげます。

「以前『小説を書きたい』と利用したゲストがいました。辰野を舞台にしたいとのことで、いろんな人とつなげてあげたんです。」

後に連絡を受けて、出来上がったのが『蛍と月の真ん中で』。ゲストは小説家の河邉徹さんでした。東京の大学生が、蛍の時期にふらっと辰野にやってきて、ゆいまーるにきて、いろんな人と巡り合うストーリー。辰野にある甘酒屋an’sや、古着屋のO to &、ゆいまーるの看板猫「みーや」も登場します。

ホストの心遣いから、辰野の世界がゲストの前に広がっていきます。

 

 

 

■地域の得意は「愛着を持ってもらうこと」

 

お二人が感じているのは、地方に人が訪れる目的は観光地だけではないということ。

「辰野にゲストが来てくれるのは、観光スポットへ行くことだけが目的ではありません。人のつながりや、町への愛着が大きいと思います。」と浩一郎さん。

辰野には正直観光スポットは多くありませんが、愛着を感じてゲストは訪れます。

「“愛着を持ってもらえている“ということは、そのゲストを思いやる住民が、辰野にたくさんいるということ。これからも辰野に来てもらうには、つながりや愛着を、住民がひとつひとつ丁寧につくりあげていくしかないと思っています。

そういう意味では、辰野の住人は来る人を放っておけない、良い意味でおせっかいの人が多いからいいのかもね。」と芳恵さん。

辰野は、伊那谷、塩尻、諏訪地域にもアクセスしやすい場所。オープンマインドの方が多いのだそう。そして、おせっかい同士が声を掛け合い、出会いもつながっていく。それも辰野の居心地の良さなのかもしれません。

「今話題になっている地方移住も、ただ立ち寄るっていうよりは、その地に愛着を感じて、そこに根付いてもらうことになりますね。その地に愛着を持たない限りは、そこに住もうとは思ってもらえません。」

 

 

 

■魅力を伝えていく役割として

 

コロナ禍を終えて、今後は日本全国で、インバウンドがさらに増えていくと予想されます。ゆいまーるでも、さっそくドイツから、リピーターが戻ってくる予定。

「インバウンドが戻ったら、より楽しいだろうなって思います。辰野駅前を外国人が歩く、ギャップと多様さがいいですね。」と浩一郎さん。

そして、今までおこなってきたことを、ゆいまーるらしく続けていくことを心に決めています。

「おもてなしを通して“また来たい”と思ってもらえたら嬉しいですね。そして、ゆいまーるだけじゃなくて、この町に対しても、愛着を持ってもらえたら良いですね。」

 

 

さらに、少しずつ始めていきたいのが、ゲストが見つけた地域の魅力を、地元の人に伝えていくことです。

「地元の人は“地元が良い”とはなかなか思えないですよね。でも、お客さんは来るたびに辰野の良いところを伝えてくれる。それを伝えていきたいです。」と芳恵さん。

ゲストからは、辰野は『里山が美しい』『浄水器じゃないのに、この水でご飯を炊くと美味しくなる』『空気が甘い』などと褒められるのだそう。夜にカエルが鳴いていることに、感動しているゲストも少なくないそうです。

「ここに住んでいる私達にとっては、なんの変哲もない環境なのに、リアルな自然が近くにあるのが良いみたい。なんだか、辰野にはニッチな面白さがあるようですね。周囲に教えたいけど、自分の中でとどめておきたいような…。そんな自分だけが知っていると思わせるような魅力があるみたいです。」

お二人もこの宿を始めるまでは、辰野の魅力を聞かれても、正直、すぐ出てこなかったのだそう。しかし、辰野の良いところを聞いていると、辰野が良いところに感じられてくる。
それを、自分達で止めてしまうのは、もったいないと考えています。

「地元にいると、外との接点がないので、なかなか褒められる機会ってないですよね。『辰野には何もない』って思っている大人も、子どもも多いと思います。移住したいと思っている人が、地元の人と話して『この町はあまり良くないんだよね』と話しているのを聞いたら、がっかりしちゃいますよね。」

町の魅力を再認識することが、自分の町への誇りとなる。そして、移住者が増えるキッカケとなりうる。さらには、辰野の魅力に気づかず、転出してしまう若者を減らす未来へと、つながるのかもしれません。

 

 

 

  • 会社情報
  • 会社情報
    事業者名株式会社コイケ(古民家ゆいまーる)
    所在地〒399-0421 長野県上伊那郡辰野町辰野2053
    電話番号0266-41-2052
    FAX0266-41-2052
    E-mailk.yagasaki27@koike.main.ne.jp
    URLhttp://yuimaaru.jp
    設立年月日平成2年 2月 4日
    資本金1,000万円
    代表者名代表取締役 矢ケ崎 浩一郎
    全従業員数合計:1人 (内、男性 0人、 女性 1人)
    主な業種卸売業、サービス業
    事業内容・農業用資材販売
    ・不動産業
    ・宿泊業(一棟貸し古民家)
    会社PR

    ・安心、安全な農業を応援しています。

    ・人と地域のつながりを大切にしながらゲストをお迎えしています。

    株式会社コイケ

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事業者名株式会社コイケ(古民家ゆいまーる)
所在地〒399-0421 長野県上伊那郡辰野町辰野2053
電話番号0266-41-2052
FAX0266-41-2052
E-mailk.yagasaki27@koike.main.ne.jp
URLhttp://yuimaaru.jp
設立年月日平成2年 2月 4日
資本金1,000万円
代表者名代表取締役 矢ケ崎 浩一郎
全従業員数合計:1人 (内、男性 0人、 女性 1人)
主な業種卸売業、サービス業
事業内容・農業用資材販売
・不動産業
・宿泊業(一棟貸し古民家)
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